不貞の調査費用はすべて相手に請求できるか |横浜の弁護士による不倫・慰謝料請求相談なら

不倫の慰謝料請求相談

初回相談1時間無料

045-594-7500

24時間Web予約
受付中

不貞の調査費用はすべて相手に請求できるか

1 はじめに

不貞慰謝料請求をする上で重要となるのが、不貞の証拠です。
そして、不貞の証拠として有力なものの1つに探偵(興信所)が取得した報告書というものがあります。
これは、不貞相手と配偶者がホテルや相手の家に入るところ・出るところを写真に収めたものです。特にホテルへの宿泊では、不貞があったことを推認させる強い証拠となります。
もっとも探偵に調査を依頼した場合、その調査費用はどうなるのでしょうか。本コラムでは、探偵の調査費用を不貞相手に負担させることができるのか、解説をしていきます。

 

2 調査費用の金額

調査費用については業者ごとに料金を定めており、料金も大きく異なってきます。
もっとも多くの業者はタイムチャージのシステムを採用しており、調査の日数が増えればその分料金も高額になるようです。
そして、平均的に1時間あたり1.5万円〜2万円程度の料金を採用している業者が多く、数日間の調査を依頼する場合には、少なくとも数十万円程度はかかってしまうようです。
当事務所に来られる相談者の方の中には百万円を超える調査費用を支払われている方も少なからずいらっしゃいます。

 

3 調査費用に関する裁判例の判断

(1)裁判例

不貞の慰謝料のほかに、調査費用が認められるかについて、多くの裁判例が判断を出しています。
裁判例の中には調査費用を一切認めないものもあれば、調査費用を認めるものもありケースによって判断が分かれています。
例えば以下のようなケースがあります。

ア 東京地裁平成22年7月28日のケース

このケースでは、調査費用として支払った金額が20万円弱と比較的低額であった こと、調査がなければ不貞を立証することは事実上不可能であったことなどから調査費用の全額について、請求を認めました。

イ 東京地裁平成22年2月23日のケース

このケースでは、原告が100万円の調査費用を負担しており、その支払を被告に求 めていました。この点、裁判所は不貞相手である被告が当初より不貞の事実を認めていたため、調査の結果が訴訟による不貞の立証に寄与した程度が低いとして調査費用の支払いを一切認めませんでした。

(2)考慮要素

上記のように事例ごとに裁判所の判断は分かれています。もっとも多くの裁判例を見る中で調査費用が認められるかどうかの判断にあたっては、概ね次のような事情が考慮されています。

①調査がなければ不貞の事実を立証することができなかったかどうか

②調査費用が相当な金額かどうか

③調査の内容が不貞を立証するのに必要なものか

例えば、調査の前から既に配偶者や不貞相手が不貞の事実を認めていた場合や、SNSのやり取りから不貞があったことが明らかであった場合などには、それに加えて調査をすることの必要性は乏しくなります。
また、調査費用について100万円を超えるような高額な支出がされたような場合、その全額を相当な費用として認めることは難しいようです。
これに加えて、不貞の事実に関係のない単なる食事の現場を取っただけの調査や職場を突き止めるための身辺調査のようなものについては、調査費用として認められなくなる可能性が高くなります。

(3)小括

上記のとおり、様々な要素を考慮して調査費用が認められるかどうかは判断されます。
もっとも、経験上、多くのケースで調査費用全額が認められることは難しく、不貞による慰謝料金額の10%(慰謝料が150万円であれば15万円)程度しか認められないケースが多いように感じます。

 

4 探偵に依頼する前に相談を

既に述べてきたように,調査費用は高額になることが多く,また,必ずしも相手に全額を請求できるものではありません。
そのため,事前に弁護士に相談をした上で,今持っている証拠だけで不貞を証明できないか,探偵をつけるとしてどこまでの調査が必要か,などの打ち合わせをすることが望ましいです。
横浜シティ法律事務所では、不貞慰謝料請求に関し経験豊富な弁護士が在籍しております。
初回のご相談は無料でお受けしておりますので、探偵への依頼をお考えの場合には、まずは一度ご相談ください。

その他のコラム

不倫したら親権は取れない?

1 はじめに 結論から言うと,不倫が原因で離婚になったとしても,親権が取れなくなるわけではありません。 ただし,一定の場合には不利な事情になることもあります。 今回のコラムでは,不倫と親権の関係について,不倫問題や離婚問題に詳しい横浜シティ法律事務所の弁護士が解説いたします。 2 親権とは まず親権とは何かということを最初にお話しします。 ※親権の内容について既にご存知の方は,この項を読み飛ばしていただいて構い...

詳細を見る

相手方の財産を開示させる手続き①(財産開示手続制度)

1 はじめに 示談や裁判をして慰謝料を支払ってもらえることになったのに,相手方が支払ってこないという場合には,裁判所の強制執行手続を検討することになります(ただし,公正証書ではない示談書の場合,一旦裁判手続を経由する必要があります。詳しくはこちらのコラム「慰謝料を支払わない場合,どうなるの?」をご参照ください。)。 強制執行手続は,裁判所に差押命令の申立てをして行いますが,その申立ての際には,何を差し押さえるか特定して...

詳細を見る

不倫相手に対する高額の不倫慰謝料が認められるのはどんな場合?

1.はじめに 配偶者が不倫をしていたことが発覚した場合、できるだけ高額の慰謝料を不倫相手に請求したいと考える方は少なくありません。ただ、弊所の別のコラムでも紹介したとおり、不倫慰謝料の相場は一般的には50万円〜300万円などと言われています。この金額を低いと感じる方は少なくないでしょう。 一方で、この相場よりも高額の慰謝料が認められた裁判例も存在しています。 今回のコラムでは,不倫相手に対する高額の慰謝料が認めら...

詳細を見る

不貞の調査費用はすべて相手に請求できるか

1 はじめに 不貞慰謝料請求をする上で重要となるのが、不貞の証拠です。 そして、不貞の証拠として有力なものの1つに探偵(興信所)が取得した報告書というものがあります。 これは、不貞相手と配偶者がホテルや相手の家に入るところ・出るところを写真に収めたものです。特にホテルへの宿泊では、不貞があったことを推認させる強い証拠となります。 もっとも探偵に調査を依頼した場合、その調査費用はどうなるのでしょうか。本コラムでは、探偵の...

詳細を見る

慰謝料を分割で払うことはできるか?

1.慰謝料は一括でなければダメ? 不倫の事実が発覚してしまい慰謝料を支払うこととなった場合,人によってはまとまったお金を一括で用意できないこともあるでしょう。特に不倫の慰謝料は高いケースで300万円を超えることもあり,これだけのお金を一度に支払うことができない人も多いと思います。 このような場合,費用を分割で払うことはできるのか,またその場合,どの程度の分割に応じてもらえるのでしょうか。 2.慰謝料は原則として一括で支払...

詳細を見る

慰謝料請求の無料相談のご予約はこちら

60分無料相談実施中!